REPORT 現地レポート

ニャンだけどタイガーになれ——福岡第一 #45 ニャン・アマドゥ マクター

2022年11月10日

 名前はニャンだけどタイガーになれ——。

 福岡第一高等学校(福岡)の井手口孝ヘッドコーチがそう言って奮起を促すのは、ニャン・アマドゥ マクター選手です。

 今年、福岡第一のゴール下を任された199cmのセンターは、10月1日の「U18日清食品トップリーグ2022」で帝京長岡高等学校(新潟)のコネ ボウゴウジィ ディット ハメード選手とマッチアップしました。

 コネ選手は、205cmの高さと上手さを併せ持つ帝京長岡の大黒柱です。昨年はチームのインターハイとウインターカップ準優勝の立役者となり、ウインターカップでは大会ベストファイブに選出されました。今夏のインターハイは出場できませんでしたが、現在参戦中のトップリーグでは1試合平均31得点17.8リバウンドを記録していて、得点とリバウンドで個人ランキング首位に立っています。

 そんなコネ選手と対峙したニャン選手。結論から言えば、コネ選手の活躍を平均以下の18得点11リバウンドに抑えましたが、これはあくまでチームディフェンスで守った結果です。ニャン選手は試合序盤からファウルを宣告されると、コネ選手に主導権を握られてしまいました。

 ニャン選手は「今日の試合の最初は難しかった。コネも俺より大きいし、抑えなきゃいけなかったけど強かった」とコネ選手との対戦を振り返りました。しかし、後半はニャン選手も負けていませんでした。次第に足が動き出し、リバウンドや持ち味であるジャンプショット、さらには速攻からダンクシュートもマーク。約20分間のプレータイムで8得点9リバウンドと2つのブロックショットも記録し、後半のプレーに関してはニャン選手も手応えを感じていました。

「最初はまだ試合に入りきれてなかった。でも、めっちゃ動いたから3クォーターからはよかったと思います。俺もちょっとスキルがあるから、動いてシュートを打ったりリバウンドに行ったりをちゃんとできるようにしました」

 ニャン選手はセネガルから日本にやってきた留学生です。来日当初は「日本語が全然しゃべれなかった」ようですが、今ではチームメイトとも問題なくコミュニケーションがとれるまでに上達しました。

 上達の秘訣を尋ねると、「友達と話しながら、練習して、覚えて、自分のケータイでアニメも見て参考にしました」とのこと。また、今井康輔アシスタントコーチは担任の先生でもあり、「今井先生は優しい先生。勉強とか全部教えてくれる」と教室でもニャン選手をサポートしてくれているようです。

 チームでの役割については、「ディフェンスとかブロックショットとか、リバウンドも取らなきゃいけない。あとは得点」と口にし、「めっちゃ難しい試合は1本外したら負けるかもしれないから、ジャンプショットは得意だけどまた練習します」とニャン選手は頼もしく話します。

 一方、井手口HCは「タイガーには、なかなかなってくれない(笑)。今日もコネに敵いませんでしたね」と言及しましたが、「でも、今日の試合で経験を積めたことは成功と言えます」と続け、ニャン選手のさらなる成長を期待していました。

 今夏のインターハイ、ニャン選手は数々の留学生と対戦した末に日本一に辿り着きました。今回のコネ選手に加え、9月の天皇杯ではプロの外国籍選手とも肉弾戦を繰り広げ、経験値は確実に上がっています。

 ウインターカップでも「日本一の留学生」になるために、そして、「タイガー」になるために、これからも後悔のない日々を積み重ねていきます。

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