REPORT 現地レポート

「基本的なことを最後までやりきる意識」で7戦全勝──千葉経済大学附属(千葉県)

2022年12月5日

「U18日清食品 関東ブロックリーグ」の女子では、千葉経済大学附属が7戦全勝で優勝を決めました。最も均衡した鵠沼との試合でも88-70と18点差の勝利。勝つという結果だけでなく、その盤石の安定感に、他チームのコーチからも称える声が多く出ていました。

千葉県の女子では昭和学院が圧倒的に強く、ウインターカップには昨年まで14年連続44回の出場を誇ります。今年は千葉経済大学附属がその『女王』を、インターハイ予選でもウインターカップ予選でも撃破して全国大会出場を果たしました。

強さの秘密は、堅実なディフェンスからのトランジションにあります。どのチームもこのスタイルを掲げていますが、千葉経済大学附属のそれは徹底しています。

11月26日と27日に草津市総合体育館で行われた桐生市立商業、矢板中央の試合でも、そのディフェンス力は遺憾なく発揮されました。サイズのある選手が走り負けず、小さな選手は当たり負けせず、一人ひとりが自分のマークする選手に絶対抜かれない気迫のハードワークで守りきります。ボールを奪ってからのトランジションもチームで息が合っており、ガード、ウイング、インサイドとバランス良くフィニッシュに持ち込みました。

堅守速攻のスタイルをここまで高いレベルで徹底できる理由はどこにあるのか。そう質問すると、池端直樹ヘッドコーチは「バランスだと思います」と語ります。「ウチではポジションによって仕事を限定しないような練習をしています。センターでもリバウンドを取ったらボールプッシュできる、ボール運びが滞ったらフォワードが繋いでもいい。バスケの基本スキルはサイズやポジションに関係なく全員が習得しないといけない。それが全体の底上げに繋がったのかと思います」

長所だけを伸ばした方が、目の前の試合に勝つには近道かもしれません。それでも千葉経済大学附属は遠回りでも基礎に忠実に、地道なレベルアップを重ねて今のバスケを作り上げました。

そんなチームでエースを務めるのは4番の川井田風寧選手。全員が守れて、全員が走るチームの中でも、彼女のアグレッシブさは一際目立ちます。堅守速攻の基本を徹底するチームスタイルをどう作り上げたのか、川井田選手はこう説明します。

「当たり前のことが当たり前にできない。それはどこのチームでもあると思います。私たちは、それをやるための土台をしっかり作るために、走り込んだりキツいメニューをこなしながら、基本的なことを最後までやりきる意識を大事にしています」

池端コーチによれば、川井田選手はキャプテンになったことで精神的にたくましくなり、プレーにも迷いがなくなったそうです。「下級生の頃はシュート力はあったんだけど遠慮がちなところがあって、技術はあるけど引き出せないところがありました。キャプテンとして責任を持ったことで力を出せるようになり、点が取れるようになったことでディフェンスまでアグレッシブになっています」と、精神的な成長が好循環を生んでいると言います。

昭和学院に勝って激戦の千葉県予選を突破するのはサプライズですが、川井田選手は「インターハイ予選で昭和学院さんに勝ったことで自分たちにもプライドが生まれて、『県では負けられない』と思うようになりました。それで今回の予選でも勝てたんじゃないかと思います」と、頼もしい言葉を語ります。

「U18日清食品 関東ブロックリーグ」で全勝し、トップリーグで揉まれる昭和学院に勝利。千葉経済大学附属は大きな自信を胸に年末のウインターカップへと向かいます。川井田選手は自信を持って「どんな相手が来ても自分たちのプレーを貫き通して、ベスト4進出の目標を達成できるように頑張ります」と語ってくれました。

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