REPORT 現地レポート

下級生チームの心意気「年齢は関係なく、自分の役割をやる」──桐生市立商業(群馬県)

2022年12月7日

桐生市立商業は「U18日清食品 関東ブロックリーグ」を1勝6敗で終えました。矢板中央を相手に延長戦を制したのが唯一の勝利で、あとは悔しい負けが続きましたが、部員が18名と少なく、3年生が3人しかいない下級生主体のチームにとっては貴重な実戦経験となる、3カ月で7試合のリーグ戦となりました。

このチームの特長は、公立校にしてはサイズがあることです。西條佑治ヘッドコーチは「サイズがあるようにチームを作ってきた部分はあります」と説明します。関根ゆず姫選手は172cmまで身長が伸び、インサイドを任されてもおかしくありませんでしたが、小さな頃からガードとしてプレーしてきた彼女を西條ヘッドコーチはポイントガードとして使い続けました。また179cmの1年生、落合茉矢についても多くのプレータイムを与え、このブロックリーグは経験値を積ませる場として活用しています。

「3年生は今までもポイントポイントで使ってきて、ある程度は計算は立ちます。控えは必然的に下級生になるので、下級生が伸びてきてもらうことが絶対に必要です」と西條佑治ヘッドコーチは期待を語ります。

そんな下級生主体のチームで2年生ながら主力を務めるのが、アンダーカテゴリーの日本代表強化合宿にもポイントガードとして選出されている関根選手です。これまで続いてきた身長の伸びが収まり、それと同時にパワーが付いてきて、自分の身体の変化とプレーが噛み合うようになったことで自信を増しているそうです。

関根選手は下級生主体のチームで長くプレーしているだけあって、「年齢は関係なく、自分のやるべき役割がそれぞれあるので、それをしっかりするのが大事だと思います。下級生は多いですけど、試合で後輩だと思いながらプレーすることはないです」と意思の強さを示すとともに、チームメートに対しては「ファウルした場合に『気にしないで』とかの声は掛けるようにしています。それだけの言葉でも少しは効果があると思うので」と気配りは忘れません。

サイズとフィジカルを備えたガードとして、リバウンドにもルーズボールにも強いプレーを見せるのが関根選手の持ち味。ガードだから身体のぶつかり合うプレーを避けるのではなく「誰かがしっかりやらないといけない部分なので、まず自分がやるようにしています」と、気持ちの強さを見せます。バスケ以外になると「そんなにガツガツ行かないです(笑)」とのことですが、バスケでは「自分が取れば流れが変わるかもしれない。だから絶対に取るつもりで飛び込みます」と、どんなボールにも食らい付く積極性を見せます。

チームの課題として挙げたのは「ディフェンスが全体的に守れていないこと。リバウンドやこぼれ球にボックスアウトしないとか飛び込まないとか、気が抜けているところがあります」とのこと。この状況を変えるために、関根選手は気持ちの強さを前面に押し出してプレーします。

もちろん、ポイントガードとして試合を組み立てることも忘れてはいません。「自分がガードとしてもっと試合を作っていけるようにしたいです。自分で攻めることは忘れずに点を取りながら、周りももっと生かせるようなプレーを目標にしています」

部員数が少ないことは層の薄さに直結しますが、桐生市立商業は多くの選手にチャンスを与えることで、一人ひとりの成長を引き出しています。関根選手のチームを引っ張る姿勢もまた、他の選手が頑張るきっかけになっているはずです。

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