REPORT 現地レポート

トップリーグ連勝スタートも「よく遊べ」の境地にはまだ届かずーー仙台大学附属明成

2022年9月19日

仙台大学附属明成は9月17日に正智深谷を95-86で、18日に東海大学付属諏訪を72-69で破り、トップリーグで連勝スタートを切りました。

東海大学付属諏訪との試合は、終始点差の離れない大接戦となりました。リードする時間帯は長くてもリバウンドから走る相手の速攻に苦しむ明成は、第4クォーター残り1分半で中川知定真選手の強引なドライブを止められずにバスケット・カウントを献上。このボーナススローは外れますが、オフェンスリバウンドを奪われ、相手の分厚い攻めに翻弄されます。それでもチームディフェンスを乱すことなく守り切り、続く攻めでは相手の激しいプレッシャーを浴びてボールを失いそうになるも、相手のファウルがあったとして命拾い。

そして内藤晴樹が巧みな動きでシューティングファウルを誘い、フリースローでリードを保ちます。勢いは東海大学付属諏訪にありましたが、最後まで崩れることなくチーム一丸で戦った結果、勝利をつかみ取りました。

15得点11リバウンドを記録した八重樫ショーン龍選手は、「最後勝てたのは良かったですけど、チームとしても個人としても課題がたくさん見つかりました」と、勝ってもなお手応えより課題の方が多い様子。また17得点17リバウンドのウィリアムス ショーン莉音選手も「最後までコートに残れなかったのは悔しい」と、勝負どころで中川選手にバスケット・カウントを与えてファウルアウトとなり、一番大事な時間帯でプレーできなかったことに反省しきりでした。

それでも、こうしてチームや個人の課題を見つけたり、悔しい思いを次の成長に繋げるのが「U18日清食品トップリーグ2022」の狙いでもあります。明成の佐藤久夫ヘッドコーチは「何かのきっかけを必要としているチームからすれば、本当にありがたい」と語り、その中でも「勝つのが一番の薬です。私は6錠飲んでますけど(笑)、勝利は10錠分ぐらい、1カ月の練習ぐらいの価値がある」と続けます。

インターハイではベスト16で姿を消した明成にとっては、このリーグ戦を「何かのきっかけ」にしたいところ。佐藤コーチは選手たちに「よく遊べ」と指示していると言います。

「頑張れと言うと固くなっちゃう。プレーは日本語に訳せば『遊べ』ですから、良いプレーをしなさい、よく遊びなさいと、選手たちの解釈を変えさせる感じでやっています。子供の頃にバスケが楽しくて仕方なかった、明日もバスケをやりたいという気持ちが、高校になるとなくなってしまい、一生懸命やって結果を出したい、それだけになってしまいます。だから『よく遊べ』と言っています」

もっとも、八重樫選手は「自分が多くドリブルをしてしまうと周りの遊びがなくなってしまうので、仲間のプレーを作ることを考えています」と、ショーン莉音選手は「自分のプレーに専念する中で、常に努力して乗り越えることで楽しみが出てくると思います」と、まだまだ『よく遊べ』という考え方を満喫する気持ちの余裕はないようです。

佐藤コーチは「失敗は良い遊びではないかもしれないけど、明日に繋がる遊びにしましょう」と、笑みとともに語ります。「選手たちはやがて大学に行き、トップのチームに行って、ゆくゆく日本代表になった時に、『私たちはトップリーグで育ててもらった』という選手が出てくるんじゃないかと思います」

この考え方が選手たちに本当の意味で浸透し、負けられない試合が続く中でも「よく遊べ」を実践できるようになるか。リーグ戦の中での選手たちの成長に注目です。

 

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