加藤寿梨と宇和唯「息を合わせて、来たらシュート」/済美(愛媛県)
2022年9月30日
済美(愛媛県)はスピードとスキル、連携で成り立つ『平面のバスケ』に磨きをかけているチームです。「U18日清食品 四国ブロックリーグ2022」ではどのチームと比べても一回り小柄に見えますが、3週目を終えた時点で5戦全勝と好調です。
『走るバスケ』の中でもオブボールの動き、カットしてスペースに飛び込む選手に寸分違わぬタイミングでパスを送るチームオフェンスが機能しています。大きな選手がいないからこそポジションレスを徹底し、スタメンで一番大きな(とはいえ169cmの)浦川萌花選手は相手のセンターを外に引っぱり出し、そこにガードの宇和唯選手(写真右)が入って来てポストプレーをすれば、宇和選手がまた外に流れてできたゴール下のスペースにシューターの加藤寿梨選手(写真左)が飛び込んで合わせのシュートを狙う。コート上の5人が共通意識を持って連動することで、高さの不利を全く感じさせない試合運びをしています。
キャプテンの宇和選手は「走ってブレイクを出す、自分たちのやるべきバスケットができています」と言い、加藤選手は「流れが良くなくてもシュートを打ち続けて、決めきってみんなで盛り上がれた」と好調ぶりを実感しています。
宇和選手はポジションレスのバスケの秘訣をこう語ります。「練習から一人ひとりが自分のポジションにこだわらず、全員がどの場所でもプレーできることで動きながらのバスケがやりやすくなると思っています。『自分がこうやれば、こう合わせてくれる』という動きを全員が分かっています」
加藤選手は「ディフェンスはとにかく足腰をちゃんと鍛えて動けるように。オフェンスは5人でパスランして合わせの練習をしています」と日頃の練習について教えてくれました。オフェンスについてはある程度は決まったプレーがあり、そこから試合展開の中で「息を合わせて、来たらシュートです」なんだとか。
中川香一郎ヘッドコーチはこのリーグ戦の位置付けも「ウインターカップ予選の準備期間。1試合ずつ大事に戦いたい」と語ります。
そこで突き詰めていくのは「目の前にいる相手と駆け引きしながら脚力を使う状況判断」です。「身体能力の高い選手がいるわけではないので、練習から5人で攻めて5人で守る意識付けをしています。オフェンスでもディフェンスでも1対1の基本を大事にしながら、2人目3人目という動きを練習しています」
愛媛県には聖カタリナ学園という全国レベルの強豪校がいますが、今年のウインターカップには愛媛県から2チームが出場できるため、本大会出場はほぼ当確とも思われます。しかし中川コーチは「ウインターカップに出場した次の年も出場権が2枠あったのですが、大会直前にケガ人が増えたこともあって失敗しました。ウチは常連校ではないので、あまり大きいことを言わずコツコツやらないといけません」と、県立新居浜商業に逆転負けした2年前の教訓を忘れてはいません。
ただ、このリーグ戦の試合を重ねる上で選手たちは自分たちのバスケに手応えを感じ、それは自信に変わりつつあります。中川コーチはウインターカップに向けて「まずは県で勝つこと」と慎重ですが、宇和キャプテンと加藤選手は元気良く「優勝します!」と答えてくれました。