REPORT 現地レポート

帰ってきたエースはチームに上昇気流をもたらすのか――正智深谷#4ルーニー慧

2022年11月18日

11月12日におこなわれた「U18日清食品リーグ バスケットボール競技大会」のトップリーグに初めて出場した“エース”がいます。正智深谷高校#4ルーニー慧選手です。ルーニー選手は右足のケガで40日間も戦線を離脱していましたが、ウインターカップ予選の直前くらいからランニングを開始。今もけっして万全の状態に戻ったわけではないのですが、ついにU18日清食品リーグのトップリーグのコートに立ったのです。

復帰戦の相手は福岡大学附属大濠高校。昨年度のウインターカップ王者であり、そのときの主力メンバーが残っています。ルーニー選手にとっては、復帰戦の相手として不足はありません。いや、それどころか、例年になくサイズアップをしている今年度の福岡大学附属大濠ですから、むしろ厳しい相手と言ってもいいでしょう。

結果を先に書けば、68-88で正智深谷は敗れました。ルーニー選手自身もエースとして得点だけでなく、リバウンドとアシストでもチームを引っ張りましたが、福岡大学附属大濠の壁を乗り越えることはできませんでした。チームの通算成績も4戦全敗となります。
「大濠の試合を映像で見ていても、自分たちより大きいことはわかっていたんですけど、やはり同じコート上に立ってみると、想像していたよりも大きかったです」

しかしルーニー選手は福岡大学附属大濠のサイズの大きさとは異なる面で、彼らに強い思いを抱いていました。
「昨年のウインターカップで大濠とは対戦していて、そのとき自分は活躍できなかったんです。大濠戦といったら、それを思い浮かべてしまうので、今日、この機会があったことは自分にとってすごくいいことでした。だからこそ、今日は自分の力を発揮したいなって思っていました」
昨年のウインターカップ準々決勝、正智深谷はメインコートで福岡大学附属大濠と対戦し、53-96で敗れています。2年生ながらスタメン出場をしていたルーニー選手は、しかし、4得点に終わっています。その借りを返したい。あのときとは違う自分の姿を見せられるような活躍をしたい。そう思っていたのです。

その一方でルーニー選手は成田靖コーチからこうも言われていました。
「キミのうまさが大濠に通用するんだったら、私がキミのことをもっと評価して、これからの練習をしていこう。でも、キミがこれまでやってきたことが大濠に通用しないのであれば、考え方を改める必要があるぞ」
結果は17得点・8リバウンド・7アシスト。成田コーチはこの結果を「通用している」と認め、この日のパフォーマンスに及第点を与えていました。
「私が彼をちょっと過小評価していたかもしれません。さすがは3年生だなというプレーを見せてくれたので、ここからは彼のプレーをもっと尊重して、チームを作っていきたいと思いました」

もちろん成田コーチも、またルーニー選手自身も認めるとおり、課題はあります。1試合を戦うだけの体力も戻っていません。それでも空いたスペースを見逃さずにシュートを沈めていくあたりは、本人も自信を得ています。

そうしたプラス面も、マイナス面も、コートに立てばこそわかるもの。それを実感できたことが、ルーニー選手にとっては何よりも収穫でしょう。
「トップリーグで通用するということは、日本国内だったら絶対通用すると思っています。だからこそ今日の大濠戦で通用した部分はこれからも貫いていって、通用しなかった部分はしっかり練習で直して、残り数試合ですが、このトップリーグでしっかり経験を重ねながら、レベルアップしていきたいなと思います」

トップリーグに参戦するチームにとっては、やっかいな選手が一人戻ってきました。これから対戦するチームも、全敗中のチームだと油断をしていたら、痛い目を見るかもしれません。それがまたルーニー選手と正智深谷を勢いづかせることにつながります。彼らの目は、まだまだ閉じられていないのです。

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