REPORT 現地レポート

鈴木楓大「積み上げた全部を生かしたい」/浜松開誠館(静岡県)

2022年11月18日

「U18日清食品 東海ブロックリーグ2022」に参加した浜松開誠館(静岡県)を率いる後藤正規ヘッドコーチは、かつて日本代表やJBLで活躍した名シューターです。

「自分が名選手だったとは自覚していませんが、自分の経験値は選手たちに伝えようと、シュートにはこだわっています。もう一つはメンタルで、試合に臨む心構え、格上の相手にどんな準備をするのかは、私の経験が伝えられると思います」

浜松開誠館のコーチになって11年目、後藤コーチは「簡単には浸透していかないので、時間はかかります」と難しさを語ります。こだわると言うシュートは「2ポイントであれば50%、3ポイントシュートだったら40%です。小さいチームなのでリバウンドが取れないから、打ったシュートは全部決める気持ちで打ってほしい」とプロ並みの目標を掲げています。

シュートとメンタル。後藤コーチのこだわりは選手も理解しています。3年生の鈴木楓大選手は、身長196cmのパワーフォワードですが、強豪校の留学生プレーヤーには高さで負けてしまうので、外のプレーで渡り合おうとしています。美しいシュートフォームは後藤コーチのこだわりを感じさせます。

その鈴木選手は、ペイントエリアの外、さらに距離のあるミドルレンジからもジャンプシュートを決めていましたが、「まだまだ入らないから練習不足です」と謙虚に語り「留学生の選手を外に引き出して、中のカッティングを生かすプレーを狙っていました。ただ、5人の連動がまだまだなので、練習しないといけないです」と続けます。

インターハイ予選では藤枝明誠に敗れて2位。全国大会に行くには、そして勝ち上がるには、強力な留学生プレーヤーを擁するチームに勝つ必要があり、鈴木選手だけでなくチームでその意識を高めています。

鈴木選手は言います。「ウインターカップ予選では決勝に行くまでの一つひとつの試合を丁寧に戦って勝ち上がって、決勝は留学生のいるチームが相手だと思うので、高校3年間で先輩方から学んだこと、自分たちの代になって積み上げてきたものを全部生かしたいです。仲間と連動してプレーして、ウインターカップに行きたいです」

その鈴木選手に後藤ヘッドコーチが求めるのは、精神面でもっとタフになることです。「感情を表に出して、戦う姿勢を表現してほしいです。3年生全体が気が優しく、なかなかプレーに気持ちが乗ってこないですね」

それは試合でのプレーにも表れます。インターハイ予選の飛龍との試合では、終盤に大逆転で勝利を収めたのですが、後藤ヘッドコーチは厳しい言葉とともにこの試合を振り返ります。「最初から出せないことに問題があるんです。大量のビハインドを背負うと頑張れるなら、最初からやればいい。そういった気持ちを作ってゲームに入るのがまだ下手ですね」

ただ、これもチームのポテンシャルを感じているからこその指摘です。鈴木選手たちの代にとっては最後の挑戦となるウインターカップ予選が迫っています。後藤ヘッドコーチの下、精神的に強くなってチームがまとまれば、目標は果たせるはずです。

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