REPORT 現地レポート

目指すは県内トップではなく、全国レベル――松江商業

2022年9月25日

 この夏に開催されたインターハイ後、松江商業(島根)にアクシデントが襲いました。

「曽田が怪我をしてしまいました」。雑賀勇太コーチの言う「曽田」とは、3年生の曽田結菜選手。今年出場した夏のインターハイ、松江商業は仙台大学附属明成(宮城)に78-81で競り負けて初戦で大会を終えました。曽田選手はその試合で42得点をマークしたチームの大エースです。

 2年生ガードの渡邊かのん選手は言います。「曽田さんが怪我をしてしまった時、チームの雰囲気が大分落ちてしまいました。特に3年生たちが……」

 これからウインターカップ予選が控える中での曽田選手の離脱は、正直、チームにとって痛手と言えるでしょう。今は1日でも早くコートに戻れることを願うばかりです。しかし、松江商業はこのアクシデントにも挫けず、前に進まなければいけません。

 そんななか9月10日から開幕したのが、1、2年生主体で臨む「U18日清食品 中国ブロックリーグ2022」です。ホームコートとも呼べる松江商業の体育館で行われた2連戦の結果は、1勝1敗でした。徳山商工(山口)との初戦は、第3クォーターで一気にペースを握られてしまい57-69で黒星。翌日の倉敷翠松(岡山)戦では、前日の反省を生かして第1クォーターから28-8と突き放すことに成功し、84-56で勝利しました。

 倉敷翠松との試合後、雑賀コーチは「昨日と今日の試合で、波があるところがまだまだですね」と振り返りつつも、「今日良かったのはディフェンスの部分です。『まずはディフェンスから』というのはチームのモットーでもありますし、それができたらこういう試合ができる、ということが選手たちも実感できたと思います」と一定の評価を与えました。

 松江商業が掲げるのは、「県内で一番の強度とアジリティ」(雑賀コーチ)です。今年の夏は、見事にそれを結実させて3年ぶりのインターハイ切符を掴みました。ですが、全国の壁を超えるには、まだまだ自分たちが未熟なことに気付かされたようです。「全国ではもう一段上でした」と雑賀コーチが言えば、今回のリーグ戦でキャプテンを務める渡邊選手もこう語ります。

「やっぱり県内のチームと全国に出るチームと試合するのには、まだまだ差がありすぎると感じました。高さの部分でも県内では通じたけど、全国では全然通用しない。ルーズボールへの意識、ディフェンスの強度、1対1のスキルとか、全部が上に感じました」

 チームは全国で勝ち抜くべく、さらなるレベルアップを図ります。そのためには1人のエースに頼っていてもいけません。松江商業にとって今回の「U18日清食品 中国ブロックリーグ2022」は、エース頼みから脱却し、チームを底上げする絶好のチャンスと言えます。その鍵を握る1、2年生たちへ、雑賀コーチはこんな期待を寄せています。

「3年生がいる中でも試合に出ているメンバーが多いですが、2年生たちはリーダーシップや試合の流れをつかむ部分がまだ足りません。このリーグ戦では自分たちが最上級生になるので、そういった部分を期待しています。3年生が入るとなかなか試合に出れないメンバーも積極的にチャレンジして成功体験を増やしてほしいですね。この大会を通して、選手たちがもっと自信を持ってプレーできるようになればいいなと思っています」

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