REPORT 現地レポート

先輩たちの背中を見て、追いつき、越える――福岡大学附属大濠 #8 渡邉伶音

2022年9月24日

「先発でこういった大きな大会に出るのは高校に入って初めてだったので、最初はやっぱり硬くなってしまいました。でも、徐々に慣れてきて少しはいいプレーができたんじゃないかなと思います」

 9月24日、ノーリツアリーナ和歌山で行われた「U18日清食品トップリーグ2022」にて、福岡大学附属大濠高等学校(福岡)が初戦を迎えました。チームには準優勝の成績を収めた「FIBA U18アジア選手権2022」に参加した湧川颯斗選手、副島成翔選手、川島悠翔選手も合流し、トップリーグを通しても今後の強化を図っていきます。

 初戦の相手は前橋育英高等学校(群馬)。片峯聡太ヘッドコーチはU18組の3選手とともに、1年生の渡邉伶音選手をスターターに抜擢しました。97-56で勝利したこの試合において、渡邉選手はゲームハイの18得点を挙げた川島選手に次ぐ15得点をマーク。しかも、約20分間のプレータイムで放った7本のフィールドゴールを全て決め、そのうち3ポイントシュートも1本沈めました。

 渡邉選手の強みは、すでに204cmある高さを生かしたプレーに加え、柔らかなアウトサイドシュートも兼ね備えている点だと言えます。これだけでも相手にとって嫌な存在ですが、本人は「3ポイントとゴール下のプレーだけでは対策されたらすぐに止められてしまうので、今は相手が寄ってきたときにドライブで切り込むとか、周りにパスをさばくといった“プラスアルファ”の技術を身に付けられるように頑張っています」と向上心をのぞかせます。

 片峯HCも、渡邉選手の日々の努力と前橋育英戦のパフォーマンスをこう評価しています。

「すでに高校のトランジションについていけるようになっているので、入学当時に比べるとかなりの進歩だと思っています。日々の練習も手を抜くことなくコツコツと取り組んでいますし、U16、U17でアジア、世界と戦ったことで『もっと自分を高めなきゃ』という責任感の表れも見て取れます。今日も苦しい場面で彼がオフェンスリバウンドで繋いでくれたりなど、そういう仕事もできる選手です。チームにとっては非常に貴重な存在だと思います」

 渡邉選手は中学時代も全国の舞台に立ち、福大大濠に入学後もU16、U17の日本代表に選出されている期待の逸材です。片峯HCが言うように、「FIBA U17ワールドカップ」で世界を経験した渡邉選手としても、現状に満足している様子は全くありません。「海外ではいつものように3ポイントを打ってもブロックされますし、そのまま速攻に持っていかれてダンクされます。それが世界のスタンダードだと考えると、これから判断力もしっかりと身に付けなきゃいけないです」と、その視線はすでに世界を見据えています。

 また、川島選手(200cm)や副島選手(197cm)など、チーム内で切磋琢磨できる存在も、渡邉選手の成長スピードを加速させていることでしょう。「先輩たちに比べると自分はまだまだです。成翔さんや悠翔さんはフィジカルもファンダメンタルの部分もすごくて、その差は練習から感じています」と渡邉選手。お手本となる先輩たちの背中を見て学び、追いつき、いずれは越えられるように経験を積み重ねていきます。

 1年生ながらこちらの質問に対しても考え込むこともなく、すぐに、かつ真っ直ぐな目で答えてくれる姿にも大物ぶりを感じながら、「どんな選手を目指しているのか?」と尋ねると、渡邉選手はこう返してくれました。

「走り、ディフェンス、ドライブといったプラスアルファの動きをもっと身につけて、外からでも点が取れて、中でも力強くプレーできるようなオールラウンダーになりたいです」

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