「勝ちにこだわる中で選手の育成に繋げていきたい」/県立城東(徳島県)
2022年10月7日
県立城東(徳島県)の泉直哉ヘッドコーチはU18のブロック長も務めており、「U18日清食品 中国ブロックリーグ2022」開催に向けての準備に動いていた一人です。
実際にリーグ戦をやってみて感じるのは、トーナメント文化との違いだそうです。「トーナメントだと負けたら終わりですから、本番に向けて遠征や練習試合を組む中でも、試合が近くなると限られた選手を使って準備をしてしまいます。リーグ戦では公式戦でいろんな選手を起用できることでチームの士気が上がる、選手たちのやる気に直結します」
「試合が終わった次の日の練習では、日頃試合に出ていない選手のモチベーションが上がったと感じます。実際にコートに立つことで自分の課題が分かり、それをワークアウトで改善しようとする姿勢が見られます。すぐに力になるわけではありませんが、1カ月、2カ月という単位で見ていけば選手の成長に繋がります」
リーグ戦では次にどこと対戦するか分からないトーナメントと違い、対戦相手を研究して試合に生かす分析も求められます。ただ、1年目の今回はまだそこまで手が回らないのが実情だと泉コーチは言います。
「本当はちゃんとスカウティングして策を練って結果を出すのが本来の目的なんでしょうけど、どうしても日頃は試合に出ない子にプレータイムを与えて経験を積ませる方を、勝ち負けよりもフォーカスしがちです。それも大事なんですが、もう少し勝ちにこだわる中で選手の育成に繋げていきたいと思います」
3週目を終えて5戦全敗と結果は出ていませんが、それもまたチームの現在地を知る機会であり、試合を通じてチームは成長しています。「出番が少なかった選手、ユニフォームを着ていなかった選手を使いながら、選手たちの成長を期待して毎週試合をしています。今は歯が立ちませんが、8月や9月にやっていたことが少しずつ成長に結び付いていると感じます」
県立高校だけに、推薦制度はあっても思うように選手をリクルートできるわけではありません。主力で出ている選手の中にも、一般入試で入って将来は医者になることを目指しながら、バスケにも本気で取り組んでいる選手がいるそうです。公立高校がまだまだ強いのが四国の特徴で、その中で全国大会で勝ち上がるチームを目指しています。
今夏のインターハイでは羽黒(山形県)に1回戦負け。ウインターカップではまず県予選を勝ち抜き、1勝を挙げることが目標となりますが、泉コーチはそのためのポイントを「当たり前のことをしっかりできるようになること」と言います。「仙台大学付属明成(宮城県)がモデルになるチームだと思います。ノーマークのシュートは決める、リバウンドやルーズボールはみんなで取る。ウチは能力がさほどあるわけではないチームですが、そういうことをどれだけ徹底できるか。それができれば県内では30点、40点差を付けられるし、そうすれば全国でも良い試合ができると思います」
泉コーチは「何事も思い通りにはいきませんけどね」と苦笑いとともに語りますが、これまで積み上げた成果が形になると信じて、県立城東は前へと進んでいきます。