REPORT 現地レポート

6連敗……でも最後まで下を向かずに――前橋育英

2022年11月25日

この日の122失点は、今年度から始まった「U18日清食品リーグ バスケットボール競技大会」のトップリーグでは最多失点です(11月20日現在)。一方の得点は62点。60点差の完敗です。通算成績も6戦全敗になります。しかし彼ら――前橋育英はこのトップリーグを通じて、着実に力をつけてきているチームのひとつと言っていいでしょう。

11月19日におこなわれた前橋育英と福岡第一の一戦は、上記のとおり、62-122でした。福岡第一は今夏のインターハイを制した“夏の王者”です。一方の前橋育英はその舞台にも立てていません。群馬県予選の決勝戦で新島学園に敗れてしまったのです。
キャプテンの永井学翔選手は夏の敗因をこう振り返ります。
「昨年の試合に出ていたのが石渡央尚だけで(この日の試合は登録外)、全体的に試合経験の少なさがありました。でもそれは言い訳にすぎません。やはり自分たちがやるべきことを40分間できなかった……ゲームの入りが悪く、それを最後まで変えられなかったことが敗因だったと思います」
今年度の前橋育英は、前年度のエースだった久岡賢太郎選手(現・中央大学1年)のように1人で30点も40点も取れるような選手はいないと、永井選手は認めます。だからこそ、彼らはパッシングゲームを中心としたチームオフェンスを展開しようとしています。質の高いパッシングゲームをするためには、動き出すタイミングやスピードを5人が合わせていかなければなりません。それが試合経験の少なさと相まって、夏の段階では一定のレベルまで達していなかったのです。

しかしながら、彼らはその敗戦を糧にして、また昨年の先輩たちが残してくれた成績からトップリーグに参戦することができたことも手伝って、大きな成長を遂げてきています。12月23日から始まるウインターカップにも、群馬県代表として出場する権利を自らの手で勝ち取りました。
「夏はまだまだチームがバラバラで、個々がやろうとしすぎていました。でもウインターカップ予選ではチームとして戦うことをコート上の5人が意識できたところが勝因になったのだと思います」
理想とするパッシングゲームに少しずつではありますが、近づいてきているのでしょう。

福岡第一戦は完敗でしたが、それでも通用する部分はあったと永井選手は言います。
「やはり自分たちのパッシングゲームがうまくできているときは、福岡第一が相手でも点数は取れていました。またディフェンスでも相手のスクリーンプレーへの対応はしっかりできたんじゃないかなと思います」
もちろん大差で敗れているわけですから、足りていないことのほうが多いのは事実です。永井選手も「福岡第一は細かいところまで徹底されていて強いと感じました」と言っています。
ただ、全国大会を制したチームの高さ、強さ、速さ、そして緻密な連携を肌で感じられたことは、26日におこなわれる最終戦にも生きてくるでしょう。もちろんその後のウインターカップにも。
「今日のゲームではどこか『福岡第一』という名前に怯んでしまったところがあったかもしれません。でも彼らも同じ高校生です。やはり自分たちは気持ちで引かずに、チャレンジャー精神で臨まなければいけませんでした。この経験を来週のトップリーグ最終戦と、その後のウインターカップに生かしていけたらと思っています」

122失点から前橋育英が学んだことは何だったのか――最終戦の試合終了のブザーが鳴るまで、彼らのプレーに注目したいところです。

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