REPORT 現地レポート

6連敗で負けグセがついてしまったチームが最後に飾った初勝利ーー正智深谷

2022年11月27日

 隣り合わせの順位同士の対戦となった「U18日清食品トップリーグ2022(男子)」最終日。第1試合は7位の正智深谷と8位の前橋育英が、どちらも初勝利を懸けて臨んだラストゲーム。気持ちが入った戦いは、第1クォーターから20点に乗せるシーソーゲーム。ディフェンスから速攻につなげた正智深谷が、第2クォーター開始5分で33-23と10点リードを奪います。成田靖ヘッドコーチは「しっかりと守ってから走り、そこからリズムを作ることができました」という本来のスタイルで突き放します。

 しかし、悲願の1勝に燃えるのは前橋育英も同じ。後半は負けじとディフェンスから速攻を出して追い上げます。試合終盤に前橋育英は2点差まで追い上げますが、85-78で逃げ切った正智深谷が最終戦を勝利で飾りました。

 これまで高校生の公式戦はトーナメント形式が主流であり、「負ければそこでリセットができます」という成田ヘッドコーチ。しかしリーグ戦ゆえに、6試合勝てない試合が続くこともはじめての経験であり、「負けグセのようなものがついてしまいました」と吐露します。

「成功体験によって、選手たちもはパッと上手くなるものです。それが、このトップリーグではいくらがんばっても、良いリズムでバスケットができていても負けが続いてしまったことで、知らず知らずのうちにチームが重い雰囲気になってしまいました」

 勝てないことで「なんとなくあきらめてしまうことを覚えてしまい、がんばっても追いつけないという感覚での試合が続きました」と成田ヘッドコーチは振り返り、その経験をできたことを糧にします。キャプテンのルーニー慧選手は「結果も大事ですが、それよりもトップリーグは内容にこだわりたかったです。しっかりとハードにディフェンスすることは目指していました」と切り替えながら7試合を戦い、なんとか最後に勝利をつかむことができました。

 ルーニー選手はケガで出遅れ、復帰後も勝てない試合が続きましたが、「最後に勝てたことは良かったです」と安堵します。個人としては、「ウインターカップ前に、いろんな課題が見つかったことが良かったです」と弱点が露呈したことをプラスに捉えていました。

 すでにウインターカップ 2022の組み合わせが発表され、正智深谷の初戦は九州学院に決定。第1シードの福岡第一と同じブロックであり、勝ち進めば3回戦で当たります。トップリーグでは前節に対戦し、66-78で敗れました。しかし、最後まであきらめず、最終クォーターに追い上げた試合経験を「もう良い材料にしてもらうしかないです」と成田ヘッドコーチは話し、今後の過ごし方についてこう言及します。

「来週から試験が入るので、そこまで練習は休んで一度リセットさせます。そこからは、例年通りのウインターカップへ向けた調整に入っていきます。このトップリーグで得られた技術的な部分だけを追求し、もう結果のことには触れません。インターハイ優勝チームに対し、10回や20回に1回勝てるかどうか。みんながハッスルし、挑戦が成功に変わっていかなければなりません。挑戦したけどうまくいかなければ勝てない相手なので、何もかもうまくいくようなコンディションに持っていきたいです。本当に1回勝負というところに気持ちを上げられるかどうか、これは私の課題です」

 残念ながら新型コロナウイルスの影響で、インターハイを棄権することとなった正智深谷。福岡第一とウインターカップでいきなり当たれば、「やっぱり強いという印象になっていたと思います」とルーニー選手は言います。しかし、トップリーグを通じて一度対戦したことにより、「もちろん強い相手ですが、自分たちも戦えるのではないか、という気持ちにはなってます」と自信に変えています。目指すは今年の目標である全国ベスト4であり、今年のチームにとっては最後のチャレンジへ向かいます。

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