REPORT 現地レポート

一流選手は人間性も一流――広島皆実 #4 大上粋奈

2022年12月7日

 今年の広島皆実高等学校(広島)には、U16とU17日本代表のメンバーに選出された選手が2名います。3年生の三次真歩選手と2年生の大上粋奈選手です。そのうち、大上選手はインターハイ後に「U18日清食品 中国ブロックリーグ2022」にも参戦し、チームのキャプテンとして広島皆実を引っ張りました。

 大上選手の魅力は身長180cmを誇る高さだと言えます。コートでは攻守にわたってインサイドで身体を張り、得点源の1人として得点を取り続けます。今回のブロックリーグではキャプテンを任されたことで、新たな壁にぶつかりながらも、また一つ選手として成長できたと口にしました。

「3年生と一緒のときはプレーだけに集中すればよかったんですけど、今回キャプテンをやらせてもらったことで今のキャプテンの大変さがすごく分かりました。自分が一番引っ張らないといけなかったですし、周りのことも考えないといけなかったのですごく成長できたと思うし、いい経験になりました」

 村井幸太郎ヘッドコーチは、「高校に入ってきたときには本当に何もできなくて……」と当時を思い出すように大上選手について話し始めましたが、「とにかく素直に努力を積み重ねて、一つひとついろんなことができるようになっています」と続けます。

 11月23日に行われた倉敷翠松高等学校(岡山)戦の第2クォーターには、大上選手と村井HCがベンチで話し込んでいる場面がありました。村井HCに聞けば、こんなアドバイスを送り、大上選手もその指示通りにしっかりとプレーしようとしていたようです。

「大上は高さがあって将来性がありますけど、今はまだ1人で2、30点取る留学生のような得点力はありません。今日はとにかく体を張ったプレー、自分から相手との接触を作るプレーをやってみなさいと指示をしたら、ちゃんとやっていましたね。ああいうところが彼女の良さです。失敗しても失敗してもパワープレーに持ち込もうとしていましたし、自分がクリアしなければいけない課題やテーマについて素直に努力しようとしていました」

 ハーフタイムにはチームメイトを集め、作戦ボードを使って自ら指示する場面もあった大上選手。「以前は自信もなかったんですけど、プレータイムも長くなっていくらか活躍できるようになったことで自覚も出てきました。もともと気遣いができる子なので、リーダーシップも取れるようになってきて、そういう部分でもすごく将来性があるのかな感じています」と、村井HCも彼女の人間性の高さを評価しています。

 大上選手の夢は、フル代表でも日本代表に選ばれ、オリンピックなどの国際大会で活躍する選手になることです。そのためには、彼女自身もプレー面だけでなく「人間性をもっと鍛えないといけない」と自覚しています。まだ17歳にもかかわらず、大上選手は自分の夢を叶えるための道筋をすでにしっかりと捉えています。

「まだまだフィジカルが弱いので、体作りをしっかりしてシュート決め切る力も身につけないといけないです。あとは、プレー以外でも生活面とか人間性をもっと鍛えないといけないと思うので、目配り、気配り、心配りをもっと磨いて、周りの人にいい影響を与える選手になりたいと思います」

 一流選手は人間性も一流——。

 大上選手はきっと、その言葉を胸に刻み、日々の努力を積み重ねているのでしょう。

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