我慢の勝利は「チーム全員にとって良い経験」/名古屋女子大学(愛知県)
2022年8月15日
名古屋女子大学(愛知県)は「U18日清食品 東海ブロックリーグ2022」を5勝1敗で終えました。大会2日目、後藤慎太郎ヘッドコーチが「この大会に参加している中では頭一つ抜けている」と評する浜松開誠館(静岡県)に第3クォーターを5-17と圧倒されて、そのまま押し切られた試合が唯一の敗戦となりました。
「開誠館さんのハードな守備を嫌がって、崩壊してしまいました。ビハインドになっても気持ちを切らさずにやりなさい、という声がけはいつもしてきたんですけど、20点差、30点差で勝てるチームではないので、僅差のゲームを我慢してモノにしなければいけません。そのためにお互いに声をかけ合うことを特に3年生には話しました」
その成果が、3日目の四日市メリノール学院(三重県)との試合で早速出ました。第1クォーターを9-24と圧倒されながら、集中力を切らせるのではなく逆に高めて、後半に逆転して勝利したのです。
相手のエースをマークして抑え、攻めに転じれば思い切りの良いアタックを見せたのが3年生の京橋菜々子選手。「一回離された時に自分たちのバスケができなくなるのが課題で、それを開誠館でやられてしまいました。今回は課題だったディフェンスの粘り、リバウンド、ルーズボールを全員で徹底できたから、逆転できました」
「集中しよう」の言葉だけで勝てるほどバスケは簡単ではありませんが、名古屋女子大学はこの大会中に貴重な成功体験を得たようです。「後藤先生やキャプテン(加藤里奈選手)が『ここ我慢して』とか『ディフェンス1本』と声をかけてくれたおかげです」と京橋選手は勝利を振り返りながらも、「本当は3年生のみんながそういう雰囲気を作らなきゃいけないと思います」と、次への課題も忘れていません。
京橋選手は試合を通じてオフェンスの中心として良いプレーを見せていたのですが、自分の活躍には触れずにチームのことばかりを話しました。「接戦で勝ちきることができなかったので、この勝利は全員にとって良い経験だったと思います。これを生かしてメンタルをもっと鍛えたいし、強いチームとの対戦に備えて、普段の練習からハードにやって、全員で意識を高めてやっていかないといけないと思いました」
後藤コーチにとっても、このリーグ戦でチームが自信を得たと感じています。「この東海ブロックリーグに参加している中で、東海総体に出ていないチームはウチだけです。キャリアを積んだチームや選手と試合をさせてもらう機会なので、私も意識するところがすごくありました。いろんなチームと本気の勝負をさせてもらって、勝てば自信に繋がります。少しでも自信を持って次のウインターカップ予選に繋げたいと思って臨んでいました。そういった意味では本当にありがたい機会でした」
インターハイ予選では愛知県の4位。ウインターカップ予選ではここから順位を上げて、全国大会出場を狙います。後藤コーチは「とにかく愛知県は2枠で、私たちは4番手です。2つ倒さなければウインターカップには行けません。でもチャンスがないわけではないので、あきらめずにコツコツと、選手たちと泥臭いことから頑張っていきます」
Withコロナの時代を過ごした今の3年生に後藤コーチは特別な思い入れがあります。「今の3年生はコロナの影響をもろに受けている子たちです。その3年生に最後に発破をかけながら、3年生がチームを引っ張って下級生が付いていくのが一番の理想です。このリーグ戦で良い経験ができて、課題が明確になったので、一つひとつクリアして、3年生に最後に良い思いをさせてあげたいです」