どんな状況でも意思を持ってチームを作り上げていく――安城学園#4高木すず
2022年9月2日
負けても次の試合がある――それがリーグ戦をおこなうメリットのひとつと言えます。とはいえ、けっして「負けてもいい」わけではありません。選手も、コーチも勝つために、常に準備を重ねていきます。課題の克服もしなければなりません。それを繰り返すことで選手およびチームは成長し、最終目標の大会、もしくは試合で、自分たちにとって最高の試合ができるようになるのでしょう。
8月27日に開幕した「U18日清食品トップリーグ2022」で女子の安城学園は連敗スタートとなりました。キャプテンの#4高木すず選手はゲームをこう総括します。
「自分たちの弱さが目立った試合になりました。もちろんできたところもあったんですけど、できないところのほうが目立ってしまって、相手のほうが一つ二つ上でした」
準備してきたことのうまくできたところ、うまくできなかったところがあったと認めながら、一方で高木選手は2試合を通じて、あることに気付きます。
「試合中に自分たちで準備をしてきたことの調整をしたり、変えていく力がまだありませんでした。そこを自分たちで声掛けがし合えるよう、準備とは別のところでの対応力をつけていかなればいけないと思います」
バスケットボールは40分のスポーツです。両チームともゲームプランを立てて、それを遂行しようとしますが、劣勢に立たされれば、その場の状況に応じた対応力も求められます。必要であれば、プランを変更しなければならないときもあるでしょう。高木選手は、京都精華学園、大阪薫英女学院という今夏のインターハイ・ファイナリストと対戦したことで、そのことに気付いたのです。
安城学園は今春からコーチが替わりました。それまでチームを率いていた金子寬治氏(現・山梨クィーンビーズ・ヘッドコーチ)から、かつて金子氏の下でアシスタントコーチを務めていた堀智美コーチに替わったのです。
しかし堀コーチは現在、他校で勤務をしているため、練習に参加できるのは、休日を除くと、平日は放課後のみ。それでも選手たちは前向きに練習を取り組んできました。堀コーチも今節の2試合について、こう話します。
「京都精華学園と大阪薫英女学院がインターハイでやってきたフォーメーションを選手たちが自分たちですべて書き出して、自分たちでそのフォーメーションの練習をして、どのように守るのかを提案してきました。それをこの夏の期間やってきました」
そのことについて、高木選手も言葉をつなぎます。
「これまでは金子コーチがいたので、すべてを任せていたというか、金子コーチに言われたままにやっていて、自分たちの意見を言う場がありませんでした。考えてみると、それがマイナスだったのかなと思います。今は、やはりコートでプレーしているのは自分たちなので、感じたことを言い合える環境でもあるし、堀コーチが言ったことにプラスアルファ自分たちで考えたことも合わさって、チームとして自分たちのやりたいプレーができているので、チームワークは強くなっていると思います」
開幕節は2試合とも敗れましたが、自分たちのバスケットを、選手たち自身が意思を持ってコーチとともに築こうとし、勝ち負けはともあれ、それを遂行して得た収穫と課題は、間違いなく彼女たち自身のものになります。
高木選手個人に目を向けても、サイズで劣りながら、果敢にゴールにアタックしていく姿が印象的でした。
「昨年のウインターカップでは2年生(当時)で一人、試合に出してもらって、京都精華学園と対戦したんです。負けてしまったんですけど、そのとき完全に気持ちもプレーもすべて逃げるようなプレーをしてしまいました。新チームでキャプテンにもなったし、自分がやるしかないという思いと、たとえ自分がシュートを外しても、ミスをしても、果敢に攻める姿でチームのムードが上がっていけばという気持ちでやっています」
コーチが替わるという状況にも、またサイズでの劣勢にも気後れせず、今の自分たちに、もしくは自分にできることを懸命に模索し続ける安城学園と高木選手。連敗スタートとなりましたが、リーグ戦を通じて、よりたくましく成長していくでしょう。その先に、目標としている今冬のウインターカップがあると信じて――。