13人の3年生も最後まで「3年間頑張ってきた功績を認めてあげたい」/県立松山工業(愛媛県)
2022年11月4日
「U18日清食品ブロックリーグ」は、負けたら終わりのトーナメントではなく一定の試合数が確保された中で競技に取り組むことを目指しています。この時期はウインターカップ予選、そしてウインターカップ本大会を見据えながらチームを強化し、また普段はプレータイムのない選手にチャンスを与えて経験を積ませることになります。
多くの2年生、1年生にプレータイムを与え、ウインターカップの戦力にしたい、また翌年以降の主力に成長させたい。そんな『育成』の考え方が重視されるリーグ戦において、県立松山工業(愛媛県)の池松健彦ヘッドコーチは13人の3年生全員に出場機会を与えようとしています。
「いろんな選手に試合を経験させてあげたい。特に普段はなかなかユニフォームをもらえない上級生にチャンスを与えたいです。やっぱり3年間頑張ってきた功績を認めてあげたい。このコロナ禍で練習ゲームもなかなかできなかったですから、貴重なチャンスをいただけたと思っています」
新型コロナウイルスの感染が広がった2020年春は、今の3年生が入学してきた時期。他のどのチームもそうであるように、県立松山工業も入学式の後にすぐ学校の活動が止まり、部活動がスタートしたのは6月すぎでした。その後も何度もコロナで部活動を中断せざるを得ず、今に至っています。
「今の3年生には本来だったらできる活動をさせてあげられなかった、悔しい思いをさせてしまいました。その思いがあったので、このような機会があるのは本当に感謝です」
「U18日清食品 四国ブロックリーグ2022」では、開催週ごとにベンチ登録のメンバーが変更できます。ウインターカップ予選では46人の部員全員、13人の3年生全員を使うことはできません。受験などの行事があって結果的に出場しない選手はいましたが、池松コーチはメンバーを入れ替えながら3年生全員にチャンスを与えました。
今後のことを考えれば、来年に戦力となる下級生に経験を積ませる方がプラスかもしれません。実際、そういった起用法をするチームも多いのですが、池松コーチは自分たちのやり方にも大きなメリットがあると考えています。「今回、3年生を連れてくることになったことで、普段の練習においても3年生が声を出して、本当に頑張ってくれました。今日もベンチで一生懸命に声を出してくれました」
ウインターカップ予選は1カ月後に控えています。「下級生も伸びてきていますので3年生全員がとはいきませんが、ここでまた1カ月、また3年生がどれだけ頑張ってくれるかは勝負です」と池松コーチは話します。
このチームで2年生ながらエースを務める中岡涼介選手は「先輩に頼るのではなく、スタメンで出る自覚を持って、自分にできることを精一杯コートで表現したいです」と、強い責任感を持ってプレーしていました。それができるのは、経験のある3年生が日頃の練習からしっかり競い合っているからこそ。チーム内での切磋琢磨は、最後の大会が終わるまで続くことでしょう。