豊浦を引っ張る存在になってほしい――豊浦 #4 坪井遥生
2022年11月3日
10月16日、県立豊浦高等学校(山口)は1回戦総当たりで行われる「U18日清食品 中国ブロックリーグ2022」の全日程を終えました。
この日の最終戦は県立岡山工業高等学校(岡山)と対戦。試合は第1クォーターから33得点を奪って22点差で勝利しましたが、自分たちのミスから簡単に失点を許してしまう場面が多々あり、ベンチで見守った枝折康孝ヘッドコーチはその度に首をかしげていました。
なかでも、枝折HCにこっぴどく怒られていたのは2年生の坪井遥生選手でした。「ゲームをコントロールして流れを作ること、積極的にリングにアタックすること」と自らの役目を口にするポイントガードは、チームの中心を担う存在です。今大会では背番号4を背負い、3年生を含めたチーム内でも先発メンバーとしてコートに立っています。
「チームを引っ張ることができなくて、悪い方向に持っていってしまいました……。反省点しかないですね」と、試合後は反省しきりだった坪井選手。今回のリーグ戦を通しては、「個人的には波がある試合ばかりだったので、良かった時のプレーを常に続けられるようにならないといけないです」と振り返りました。
「まだまだ安定して力を出し切れていない」。枝折HCも坪井選手の今の課題ついて指摘します。しかし指揮官は、「彼への要求度は高いですし、彼がいないと困ります」とも明かし、こう続けます。
「今までも彼のおかげで勝ったこともありますし、負けたこともあります。そういった経験をしてきたなかで、もうワンランク、ツーランク上がってもらわないと全国では勝てないかなと。中学時代は県大会1、2回戦負けの子ですけど、僕は全国でも通用するものを持っていると思いますし、彼には豊浦を引っ張る存在になってほしい。だからより厳しく指導したり、檄を飛ばしたりしています。本人もそれは分かっていますけど、可愛そうですよね(笑)。ハハハハ」
時折、笑みを浮かべながら語る枝折HCの気持ちに対し、坪井選手も「先生から言われていることをできるようにならないと、全国では勝てないと思ってます」と言葉をつなぎます。
大きな期待を背負う坪井選手を軸にした豊浦は、3勝1敗で中国ブロックリーグを終えました。「中国地区の1位と試合ができたことで、改めて自分たちのチームがどのぐらいの位置にいるのかを確認できましたし、何が足りないのかも再確認できた大会でした」と坪井選手が言えば、枝折HCは感謝の言葉とともに今大会を総括しました。
「こうして日清さんと日本バスケットボール協会さんがバックアップしてくださって、すごくいい経験できた4試合でした。リーグ戦ということで色んなことにチャレンジできましたし、この経験をこれからのモチベーションに変えて、ぜひまた参加させてもらいたいなと思います」
取材の最後、枝折HCと坪井選手それぞれに次の目標を伺うと、同じ答え返ってきました。
全国ベスト8。ウインターカップのメインコート——。
豊浦に新たな歴史を刻むための次なる戦いは、休む間もなくやってきます。