REPORT 現地レポート

全国大会出場は叶わなかったが、チームの歴史を作った3年生ーー埼玉栄(埼玉県)

2022年12月5日

ウインターカップ 2022への出場を懸けた埼玉県予選が行われた10月30日。4チームによる決勝リーグに挑んだ埼玉栄は、正智深谷と本庄東に敗れて3位。残念ながら、全国大会出場にあと一歩届きませんでした。しかし、「U18日清食品 関東ブロックリーグ」はあと2試合残っています。「やっぱり一番はメンタル面が難しかったです」と伊藤裕一ヘッドコーチが言うように、予選敗退から立ち直るには時間が必要でした。

「ウインターカップは自分たちが目指してきた一番大きな舞台だったので、それを逃したことが本当に悔しかったです。ブロックリーグが残っていましたが、テンションもモチベーションも下がってしまいました」と当時の心境を振り返るのは、3年生の石井天満選手。伊藤ヘッドコーチは敗退が決まったその日、「リーグ戦がまだ途中なのだから、最後までやり切るのが当たり前だろう」と伝え、もう一度奮い立たせます。しかし、混乱する選手たち。リフレッシュする期間を与えると、「最後はやっぱりみんなで楽しんで、気持ちよく終われるようにしようとみんなで相談して、みんなで決めてリーグ戦に戻って来ました」という石井選手をはじめとした3年生も揃って、残る2試合に臨みました。

スタートは3年生を起用し、続けて新チームの主力となる2年生に交代しながらゲームを進める埼玉栄。伊藤ヘッドコーチは「ウインターカップ予選敗退の状態で終わってしまったら意味はありません。せっかくリーグ戦があるのだから、しっかりとこのチームの土台を作ろう、そのためにも3年生にはもっと自覚を持って欲しかったですし、それができる選手たちです。最後まで戦って、後輩たちにバトンタッチをして欲しいと伝えました」という思いを込めます。

石井選手も「後輩にしっかりと自分たちのプレーを見せて、つなげていこうと意識していました」と目標を持って臨みます。3年生にとっては次のカテゴリーを見据え、「大学ではもっと努力して、外も中もできるような選手になりたいです。まだまだ通用しませんでしたけど、そこを目指すための課題点をしっかりと見つけることができたことが良かったです」という194cmの石井選手はリーグ戦を活用し、プレーの幅を広げます。

八王子学園八王子に51-104、最終戦の桐光学園にも49-76で敗れ、白星を飾ることはできませんでした。しかし、「歴史を作ってくれました」と、伊藤ヘッドコーチは引退する3年生たちに感謝します。

「私が埼玉栄に就任して8年が経ちますが、最初は本当に厳しかったです。選手が悪いというわけではなく、練習の取り組み方がうまくいってませんでした。その時期を経て、今では練習への取り組み方もすごく変わりました。特に今年は結果以上に、チームとしての歴史は間違いなく上向き、本当にバージョンアップさせてくれた3年生たちです。次につなげられる練習ができるようにしてくれました」

最終戦を終えたコート上で伊藤ヘッドコーチは、「3年生ができなかったことを、来年のチームは絶対にできるようにしなければいけない。練習してきたのにまだできていなかった部分など、次へ向けた話をしました」。トップリーグ終了と同時に、ここから新チームがスタートします。

「今年はインターハイもウインターカップも出られなかった分、後輩たちには埼玉1位になって、正智深谷を倒して全国大会に出てもらいたいです」と後輩たちへメッセージを残した石井選手。約1ヶ月引退が伸びた埼玉栄の3年生たちにとって、関東ブロックリーグが良い思い出となったとともに、悔しさをバネにしながら成長する2試合になったはずです。

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