REPORT 現地レポート

全国で勝つために、変化を恐れず成長する重岡楓実/聖カタリナ学園(愛媛県)

2022年11月3日

聖カタリナ学園(愛媛県)はインターハイ出場27回、ウインターカップ出場24回で、それぞれ最高成績が準優勝、ベスト4に5回、8回と進んでいる伝統校です。現在、日本代表で活躍する宮崎早織選手を擁してインターハイとウインターカップで決勝進出を果たしたのは2012年のこと。就任9年目の後藤良太ヘッドコーチの下で10年ぶりの躍進を目指します。

「U18日清食品 四国ブロックリーグ2022」では3週目を終えて4戦全勝。下級生の選手にチャンスを与えながら、さらには後藤コーチがU18日本代表のアシスタントコーチとして「U18女子アジア選手権大会」が行われたインドへの遠征で不在だったにもかかわらず、しっかり勝ちきる強さを見せています。岡豊(高知県)との延長にもつれた試合でも、最後まで集中を切らさず競り勝ちました。

聖カタリナ学園のプレーで目立つのは、相手のコンタクトを受けていてもシュートを決めきる決定力の高さ。後藤コーチは「そう言っていただけるとうれしいですが、まだまだです。アジアの選手はもっと上手かったので、タフショットでも決めたいです。何回も突っ込んでは外す判断の悪さもあったので、そこも課題です」とチームに厳しい目を向けます。

奮闘が目立ったのは重岡楓実選手。171cmと全国で戦うにはサイズがあるわけではないのですが、単純なポストアップではなく、そこからドライブで切り込む攻めで多くのシュートを決めていました。

重岡選手は言います。「もともとは中でポストアップして点を取っていたんですけど、インターハイでは自分より大きい180cm台の選手に苦戦して、40分フル出場したのに1桁得点しか取れませんでした。なのでもっと小回りの利くドライブができたらと思って練習してきました。この四国ブロックリーグではドライブを中心に点を取ろうと決めていたので、ゴール下よりドライブで点が取れて良かったです」

後藤コーチは重岡選手を「相手が強いチームだとすごく頑張れる、スーパーサイヤ人みたいな選手です」と表現します。以前に関東のチームとの練習試合で大活躍したのですが、プレー中に肉離れを起こしていたそうです。「シュートも入ってドライブも決まって、素晴らしいパフォーマンスだったんですけど、ケガはしないでほしい。もう少し落ち着いて、俯瞰で物事を見られるようになれば、もっと良い選手になれます」と後藤コーチは成熟に期待しています。

重岡選手のプレーの成長を認めつつ、求めることもまだ多い後藤コーチは「相手が小さかったら重岡も中で頑張ればいいんですけど、本当は3ポイントシュートも打てるのに中にこだわって重たくなってしまう」と課題も挙げます。

ただ、選手は選手で自分たちで考えて成長し続けてもいます。後藤コーチがチームを留守にしている間、藤本真央アシスタントコーチの下で選手たちは話し合い、自分たちのプレースタイルを変化させました。

「今までハーフコートディフェンスだったのをオールコートに変えて、オフェンスもボールが止まることが多かったんですけど、積極的にボールを動かして自分たちも走ってスペースができたらドライブ、みたいに変えています」と重岡選手が説明してくれたスタイルは、今回のリーグで効果を発揮しています。重岡選手も「手応えは結構あります。後藤コーチも戻って来てびっくりしていました」と自信ありげです。

3年生の彼女たちにとっては、間もなく高校バスケの集大成となるウインターカップがやって来ます。重岡選手は抱負をこう語ります。「県予選の決勝は済美だと思います。済美とは4回対戦して、すべて勝っているんですけど苦しい試合ばっかりです。なので今、自分たちが変えているバスケできっちり愛媛で優勝して、小回りの利いた速いバスケでウインターカップではメインコートを目指します。最後のウインターカップなので全力で頑張ります」

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