REPORT 現地レポート

安定感光る影のキーマン――福岡大学附属大濠 #7 広瀬洸生

2022年10月8日

 福岡大学附属大濠高等学校(福岡)の試合を見るとき、まず最初に目を向けるのは湧川颯斗選手、副島成翔選手、川島悠翔選手あたりでしょうか。

 彼らは昨年優勝を成し遂げたウインターカップでも先発メンバーに名を連ね、今年は三本柱としてチームを引っ張る存在です。惜しくも今夏のインターハイには出場できませんでしたが、8月には揃ってU18の日本代表にも選ばれ、「FIBA U18アジア選手権大会2022」を経験しました。湧川選手が194cm、副島選手が197cm、川島選手は200cmという高さも相まって、3人が並ぶとまた一段と迫力があります。

 しかし、いくらサイズのある選手や日本代表クラスの選手を揃えても、仲間同士の連携やチームケミストリーが成熟しなければ日本一に辿り着くことはできません。さらに強いチームには、必ずと言っていいほどエースや全体を支える存在がいます。それは選手なのか、マネージャーなのか、性格は明るいのか、それとも大人しいのかなどはそれぞれですが、各チームの「縁の下の力持ち」を見つけることも、試合を観戦するうえでの楽しみの1つと言えます。

 前述した3選手より派手さはないかもしれませんが、今年の福大大濠においてチームを支えるキープレーヤーの1人が広瀬洸生選手です。現在は主にシューティングガードとしてプレーしており、最上級生となった今年からスターターを務めています。

 9月24日、25日に行われた「U18日清食品トップリーグ2022」では、2試合で27得点をマークする活躍を見せた広瀬選手。持ち味の鋭いドライブからの得点もさることながら、チームの流れが悪いとき、あるいは流れを持っていかれそうな場面でのディフェンスやアシストも光りました。

 前橋育英高等学校(群馬)との試合後には、「うちのチームには日本代表で経験を積んできた選手もいますけど、今日の試合で安定してチームのためにプレーしてくれていたのは広瀬や芦田(真人)です」と片峯聡太ヘッドコーチが評価したことからも、広瀬選手の貢献度の高さが伺えました。

 ポイントガードを務める湧川選手もまた、広瀬選手の存在の大きさについてこう話します。「一緒に出ているときは洸生が力強いドライブしてくれるので本当に助かってますし、洸生がドライブしてくれる分、自分は違うプレーで貢献できるよう意識してます」

 この言葉に対し、広瀬選手は「湧川がボール運びやゲームメイクに苦しんでいるときは、自分がボールをもらいに行って補うようにしています」と口にします。「今は川島と渡邉(伶音)の下級生2人がスタメンで出ているので、3年生として前向きな声掛けやアドバイスをするようにしてます」と、後輩への気遣いも忘れません。

 現在、チームは代表活動で国際経験を積んだ選手たちと、その間も学校の体育館で汗を流し続けた選手たちの連携を深めている最中です。片峯HCは「もう少し良いケミストリーを起こして噛み合ってくれば、もっと面白いチームになるのではないかなと思います」と今後をポジティブに捉えています。

 3年生として日頃からリーダーシップを意識しているという広瀬選手は、さらなるチーム力向上の鍵を握る1人です。ぜひ、選手層の厚い福大大濠を支える彼の姿にも注目してみてください。

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