REPORT 現地レポート

「全員を尊敬し合って頑張れるチーム」ーー明星学園 #95 武井遙菜 #97 高橋京香

2022年11月11日

明星学園は「U18日清食品トップリーグ2022」でいまだ勝ち星がありませんが、チームは活気を失ってはいません。10月9日には夏のインターハイで優勝、そしてこのリーグ戦でもここまで4戦全勝の京都精華学園と対戦しましたが、選手たちは全力で挑みかかりました。

京都精華学園には187cmの長身に加えて、フィジカルの強さも柔らかなスキルも備えるエース、イゾジェ ウチェ選手がいます。対戦するどのチームも彼女のインサイドプレーをまずいかに止めるかが問われる中、明星学園は留学生プレーヤーのアダム アフォディヤ選手が欠場。代わりに先発に抜擢されたのは、2年生の武井遙菜選手でした。

「アダム選手がいなくて私もスタートが初めてだったんですけど、弱い気持ちで入ってしまうと最後まで気持ちが続くか不安で、前日にスタメンと伝えられた時は『えっ!?』と思ったんですけど、試合開始前に名前が呼ばれた時は『さあ頑張ろう!』という気持ちを作ることができました」

そう語る武井選手は、イゾジェ選手に対しても一歩も引かずに奮闘。「とりあえず『やるしかない』と思って、ゴール下のファウルは仕方ない部分は仕方ないので、前から当たることやルーズボールだったり、細かいところに集中しました」と振り返ります。

結果としてフィールドゴール29本中22本を決められ、46得点を奪われましたが、少なくとも前半は接戦に持ち込む健闘を見せ、リズムに乗れずフラストレーションの溜まる京都精華学園ではなく思い切りの良いプレーを貫く明星学園に勢いがありました。

武井選手は34分33秒のプレーで8得点8リバウンド5スティールを記録。「やられることもあったんですけど、自分のプレーができている部分もあって、最後まで全力でやりきることはできました」と手応えを語ります。

この日の明星学園では2人の2年生が先発していました。183cmの武井選手がファウルトラブルに陥った時に、イゾジェ選手のマークを引き継いだのがもう1人の2年生、高橋京香選手です。176cmの高橋選手とはサイズの差が歴然としていましたが、「同じ高校生なので楽しもうと思いました。自分も武井さんと同じでルーズボールとか、自分の取れるリバウンドをちゃんと取ることを意識しました」と、こちらもイゾジェ選手を相手に一歩も引かずに戦いました。

高橋選手も「U18日清食品トップリーグ2022」で良い経験が積めています。「インターハイが初めてのスタートだったんですけど、緊張で何もできませんでした。このリーグ戦は先発で出させてもらって、先輩方の声がけもあって緊張せずに自分のプレーが出せるようになりました」

思い切りの良いプレーができている要因を、高橋選手はこう語ります。「チームが大変な状況で、自分たちが少しでも3年生を助けられればと思って、最初から気持ちで負けていてはダメなので、気持ちでは勝とうと思っていました」

「最初の試合と比べると、この舞台で怖さを感じることがなくなりました。今日も自分的には一番良いプレーができたと思います。前はアダムさんに頼っていた部分があったんですけど、自分がやらなきゃいけないと気持ちを決めたことで、練習ではやっていたけど試合では出せなかったプレー、今までやったことのないプレーが自然と出てきて、自分でもびっくりしています」

強敵相手にも臆することなく思い切ったプレーができるのは、チームの雰囲気の良さが助けになっているからです。武井選手は「監督がいないことで、練習中に選手同士で先輩も後輩も関係なくコミュニケーションが取れているので、ベンチもそういう雰囲気になっていると思います」と言います。また高橋選手も「声を出したりハイタッチしたりが多くて、一人ひとりが全員を尊敬し合って頑張れるチームです」と、一致団結ぶりを誇ります。

間もなくウインターカップの予選が始まりますが、武井選手も高橋選手も「ルーズボールやリバウンドを頑張って、あとはアウトサイドのシュートの精度を上げるために個人練習をもっとやります」と語ります。明星学園は負けが続いても下を向くことなく、泥臭くボールを追い続けます。

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