すごく前向きな敗戦ーー東海大学付属諏訪
2022年11月10日
「U18日清食品トップリーグ2022(男子)」は10月8日、2勝1敗の東海大学付属諏訪は、負けなしで2連勝中の福岡大学附属大濠と対戦。第1クォーターは26-19とスタートダッシュに成功した東海大学付属諏訪でしたが、第3クォーターは逆に16-31で福岡大学附属大濠の一方的な展開となって逆転を許し、84-99で敗れました。
東海大学付属諏訪の入野貴幸コーチは、「今できる自分たちが準備してきたディフェンスを出せたことと、オフェンスでも大濠の高さに対して合わせの練習をしてきたので、そこを表現できたので良かったです」と前半リードできた要因を挙げます。この試合は中川 知定真選手(平均24点)とともに、チームの得点源である石口直選手(平均22.5点)がファウルトラブルとなり、20分間しか出場できませんでした。苦しい状況の中でも、「はじめてスタメンで起用した菅原(潤哉)が、体力的に最後まで持たなかったのは仕方ないにしても良い仕事をしてくれました。4~5番ポジションの得点がキーだと思っており、その中で櫻田(睦人)が復調の兆しを見せてくれたのが収穫でした」と負けても得るものが多くありました。
191cmの櫻田選手は、福岡大学附属大濠の川島悠翔選手ら2メートルの選手とのマッチアップが続き、「相手の方がウイングスパンが長くて苦戦しました」と感想を述べます。「自分の役割がハードに相手を追いかけることだったので、それに徹してチームのために足を動かすことだけを意識していました」とディフェンスで目立ち、持ち前の身体能力を活かします。オフェンスでは3ポイントシュートを決め、「相手よりも運動量で上回れるようなプレーを意識していました」という櫻田選手は9点を挙げ、今大会での自身最多得点を記録します。
インターハイで見えた課題点として、「4~5番のポジションの得点が、敗れた開志国際戦では3点でした」という入野コーチ。「3ポイントでも速攻でも、ファウルをもらってフリースローでもなんでも良いので、インサイドのポイントが上がっていかなければ、アウトサイドの3人に負担がかかってしまいます」という課題に取り組んでいるのがこのトップリーグです。2年生の板倉伶弥選手の得点は伸びており、櫻田選手の復調が待たれていました。
得点面だけではなく、「今シーズン、チームとして協調しているのがゴースト・スタッツです。板倉も良いテイクチャージをもらっていました。そこが諏訪のメンタリティーとして、ウインターカップで最高のゴールに向かって表現できるようになってくれば良いです」と入野コーチが言うとおり、コート上でハッスルする選手たち。福岡大学附属大濠戦でも、その意識はとても高かったです。
「リバウンドでは前半から全員がしっかりボックスアウトをして、イージーに取られたリバウンドがほとんどありませんでした。それに対してオーバーペースだった部分もあり、第3クォーター途中で疲れが来てしまいました。それでもあれだけ身体を張って戦えていたので、方向性としてはこれ以上ないと思うほど評価できます」
櫻田選手は全国トップクラスのチームとの戦いが続く中、「相手は日本代表など自分よりも実績や身長がある選手たちであり、試合を通して相手から学ぶことで成長につながっています。まだ体格が劣っているので、もっとフィジカルコンタクトからの得点やリバウンドを多く取れるようにしたいです」と自分の弱点に向き合いながら多くのことを吸収し、前へ進んでいました。
入野コーチは、中部大学第一の常田健コーチとともに、昨年のFIBA U19ワールドカップ、今年はFIBA U18アジア選手権にアシスタントコーチとして参加。国際大会で得たリーグ戦の経験を活かし、「フォーカスするポイントを明確に伝えなければなりません。あれもこれもではなく、あれとこれ、という形で端的に選手に伝わるようにし、リーグ戦の中で修正していくことが大切です。どうしてもコーチはあれもこれも伝えたくなるものですが、その中で優先順位をつけて一番プライオリティーが高いものから提示することは勉強になりました」と意識しながら指揮を執っています。この週は国体があり、準備期間が少なかったことで伝えきれず、「オフェンスで行き詰まり、そこでのクリエイトの仕方を伝えられれば良かったです」と悔やみます。逆に言えば、しっかりと準備さえできれば勝負できる自信を芽生えてもいました。
「今日はすごく前向きな敗戦でした。練習してきたことを出せば、あと少しの差だということが分かったので、そこを改善していければ良いと思っています。敗れましたが、戦う姿勢や選手たちの目つきは素晴らしいものがあり、最後まで戦ってくれました。そこが今年のチームの強みです。石口もプレータイムが短い中でも存在感を発揮してくれたと思うので、しっかりと次につなげていきたいです」