REPORT 現地レポート

下級生主体のチームで臨む岐阜女子のゆくえ

2022年11月13日

今年度の岐阜女子は下級生が主体のチームです。もちろん3年生たちがいないわけでも、また彼女たちが頑張っていないわけでもありません。また、下級生が主体だからといって負けていいわけではありませんし、3年生を含めた彼女たち自身もそれを望んでいるわけではありません。どうすればこのチームで勝てるのか。その道を模索しながら、彼女たちは日々の練習に取り組み、目の前のゲームを懸命に戦っています。

10月9日以来となる「U18日清食品リーグ バスケットボール競技大会」のトップリーグが愛知県・名古屋市でおこなわれ、桜花学園と対戦した岐阜女子は61-87で敗れました。

「やっぱり桜花学園さんは強いというか、すごいです」
そう振り返ったのは、チームトップの22得点をあげた岐阜女子#6絈野夏海選手です。彼女もまた下級生(2年生)なのですが、桜花学園の3年生たちに怯むことなく、得意のドライブを仕掛けたり、チャンスがあれば積極的に3ポイントシュートを狙い、3本のそれを沈めました。

それでも桜花学園という高い壁を乗り越えることはできません。

その一方で今日の岐阜女子は、インターハイのときに主力としてゲームに出ていたジュフ ハディジャトゥ選手、榎本麻那選手、高桑利加選手の3選手がコンディション不良のため欠場していました。そんな苦しい台所事情の中で、絈野選手を中心としたメンバーが、個々の持つ力を存分に発揮し、瞬間的とはいえ桜花学園に迫ったわけです。
岐阜女子を率いる安江満夫コーチは言います。
「留学生のコンディション不良で急遽1週間前にゲームプランを変えて戦ったんですけど、(桜花学園に)100点を取られませんでしたし、十分捕まえられるところまでは来たかなって思っています。まだまだこれからですが、現段階においてはまずまずだと思います」
第3クォーターが終わった時点では52-58。わずか6点差です。それも前半が終わった時点で17点のビハインドを背負っていて、第3クォーターの10分で6点差にまで迫ったのですから、敗れたとはいえ、この試合が持つ意味は、岐阜女子にとって大きかったと言えます。

安江コーチが「チームの柱としてちゃんと育ってきている」と認める絈野選手も、「私個人としては得点を取りに行くことが役割なので、まだまだ攻めきれていない部分もありましたけど、間合いが開いたところで3ポイントシュートを打ったり、要所で自分の得意なドライブを決めて、得点を取れたことは良かったです」と自信を見出しています。

ただ惜しむらくは、桜花学園がもうひとつリズムに乗りきれず、一気に詰め寄りたいところで起こったいくつかのミスでしょう。安江コーチも、経験値の少ない下級生が主体とはいえ、「それが今のウチの力です」と認めざるを得ません。
「ここで得点を取らなければいけないという場面でレイアップシュートを2本落としています。それらは単なるマイナス2点、4点ではなく、チームとしては追い上げムードのときでしたから、計算上の数字以上にダメージが大きいですよね。それも含めてまだまだだろうと思います」
あのときのシュートが決まっていれば、ゲームの行方は違ったかもしれない――そう思い返すシーンがバスケットボールにはよくあるものです。些細なミスが命取りになることもあります。むろん高校生の彼女たちにとっては、それがまた血肉となって、未来につながっていくのですが、目の前のことをないがしろにして、明るい未来はありません。それをどう捉えるかが大切です。
桜花学園は強くて、すごいと振り返った絈野選手はこう続けました。
「下級生主体の私たちにとって、U18日清食品リーグはすごくいい経験の場になっていると思います。これを次の試合や、冬の大会に生かせるようにしていきたいと思います」

最終的に突き放されてはしまいましたが、彼女たちの戦いぶりに今後を期待せずにはいられません。コンディション不良で合流が遅れている3選手が戻ってきたとき、岐阜女子のベースがどこまで上がってくるのか。もしかするとリーグ戦というスタイルのメリットを最も享受するチームは今年度の岐阜女子かもしれません。

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