REPORT 現地レポート

勝ち切る難しさと勝つために得たもの——東京成徳大学

2022年11月27日

東京成徳大学は「U18日清食品リーグ バスケットボール競技大会」で勝ち星を上げることなく7連敗を喫しました。結果だけに目を向ければ、この成績はショッキングなものですが、最終戦後に東京成徳大学のキャプテン山宮好葉選手は1か月後に待ち構える「ウインターカップ2022」を見据えるような眼差しで、大会をこう振り返りました。

「リーグ戦で勝利することはできませんでしたが、確実にリーグ戦を戦う前のチームよりも伸びたと思います。全国の強豪と戦ったことでひと段階成長できました。ここからもっと練習して、(ウインターカップでは)良い結果を残せるように頑張りたいです」

トップリーグに集まるチームは、全国大会の上位まで勝ち上がらなければ公式戦では対戦する機会のないチームばかり。今年はインターハイ出場を逃していた東京成徳大学にとっては、そんな強豪と対戦できるだけでも価値のあるものだったわけです。

最終戦の相手は同じ東京都のライバル校である明星学園。試合は序盤から積極的に得点を狙い、リーグ戦最多のトータル16得点を記録した山宮選手に率いられた東京成徳大学がリード。スムーズなボール回しからズレを作り、サイズにとらわれないチームバスケットを披露し、第1クォーターを終えた時点では22-15としていました。

しかし、第2クォーターに入ると明星学園が池田凜選手のスピードあるドライブや日部瞳選手の連続3Pでリズムを作り、一気に逆転。東京成徳大学は細かな連係ミスによるターンオーバーやイージーショットのミス、相手にオープンショットを許す時間帯が続いてしまいました。後半に入ってもなかなかリズムを取り戻すことができず、要所で好プレーを見せるものの最終スコア68-90でタイプアップのブザーが鳴ったのでした。

リーグ戦全体を通してみると7試合中3試合が1桁点差、今夏のインターハイファイナリストの京都精華学園と大阪薫英女学院に対しても共に12点差と、勝てる可能性のある好勝負を多く演じてきました。そうした結果について小林康裕コーチは「レベルが高い相手との対戦は全国の舞台でも勝ち上がらないと体験できない部分もあったりするので、『これは通用する』『これは通用しない』という部分がはっきり出ました。ここまではやれるという手応えをつかんだ半面、『ここはもっと徹底していかないと、このレベルでは勝ちきれないんだ』ということを言葉にせずとも体感できたと思います」と振り返っています。

インターハイやウインターカップはノックアウト方式のトーナメント。勝てる試合をすることはもちろん価値のあることですが、あくまでも試合に勝ち切ることが最終的には重要になってきます。最後の一踏ん張りができるかどうかという部分は大きな課題として選手それぞれが持ち帰ることでしょう。

長きにわたって開催されたリーグ戦で山宮選手は「トーナメントだと負けたら終わりで次はないですが、リーグ戦ではなぜ負けたのかという課題を見つめて、すぐに気持ちを切り替えることができるようになりました。それに全国のレベルを知ることができたので、全国で勝っていくためには『このままじゃ駄目だ』『これだとこの相手にはやられてしまう』など、より自分たちで喋りながら練習するようになりました」と、プラスの変化があったことを認めています。

天野選手は、自信のプレーを「トップリーグの全試合通したら、できている時とできていない時の波が激しかったけれども、ドライブでだったり3Pのシュートやディフェンスで声を出し、一生懸命点取れたところが良かったと思います。」と振り返りました。

そして、小林コーチも「うちはあまり得点力が高い方ではないので、どれだけディフェンスを頑張るか、どれだけ徹底できるかというところがこれからの課題です。これは大会前からの課題でもありましたが、このリーグ戦でも簡単にオープンで打たれてしまって勝敗が決まった試合もありました。改めてディフェンスの徹底という部分をこの1ヶ月でしっかりやっていければなと思いましたし、逆にそれをやれればチャンスはあるなとも感じられています」と、突き詰めるべきものがより明確になった様子。

この7試合で勝ち切る難しさを痛感しながらも、勝つために何が必要かも実感できた東京成徳大学。1か月後の彼女たちの姿を楽しみに待ちたいところです。

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