REPORT 現地レポート

受け継がれる伝統、新旧ポイントガードの谷俊太朗と野田凌吾/藤枝明誠(静岡県)

2022年9月15日

8月に行われた「U18日清食品 東海ブロックリーグ2022」では、負けたら終わりのトーナメントとは違って一定の試合数が確保されての戦いとあって、プレータイムの少ない選手や下級生の選手にチャンスが与えられたり、新しい戦術が試されたりと、各チームの様々な新しい試みが見られます。

藤枝明誠(静岡県)には谷俊太朗選手という絶対的なポイントガードがいますが、大会2日目の2試合ではいずれもプレーしていませんでした。これは3年生の彼に対し、「今日は1年生の野田を使うので、彼のアドバイス役に回ってほしい」との金本鷹ヘッドコーチの指示があったからです。

谷選手に続く2番手のポイントガードは1年生の野田凌吾選手。全国ベスト4まで勝ち進んだインターハイでもプレーしていましたが、本人曰く「出ても繋ぎで少し出るぐらい」という程度。今回はプレータイムを増やすとヘッドコーチからあらかじめ言われており、大会前から期するものがありました。

大会2日目の8月24日、安城学園(愛知県)と四日市メリノール学院(三重県)との2試合は野田選手が先発ポイントガードを務めることに。谷選手ほど試合全体を支配する力はないにせよ、思い切りの良いドライブとシュートによる個人での活躍はもちろん、積極的に声を出してチームメートを動かし、ポイントガードの役割を果たしました。

野田選手はこの2試合の出来を「自分的には全然まだまだです。コミニケーションのところで上級生に対して少し遠慮しがちなところが性格的にあるので、そこはまた気を付けてやっていきたいです」と反省します。

ベンチから常に声を掛けていた谷選手は、後輩のパフォーマンスをこう評しました。「入った時から視野が広くてパスを通せる選手だったんですけど、入学してずっとAチームで自分の次のガードをやりながら徐々に徐々に良くなっています。でも、もっと自信を持って、1年生だからじゃなくガードとしてチームを引っ張るポジションなので、そこは凌吾にもっと求めていきたいです」

藤枝明誠は夏のベスト4を弾みに、ウインターカップで全国制覇を狙います。金本ヘッドコーチはインターハイで結果を出せた効果として「選手たちの顔つきがガラリと変わりました」とチームが自信を得て、今まで以上に熱意を持ってバスケに取り組んでいると語ります。身長205cmの留学生プレーヤー、ロードプリンス・チノンソ選手はまだ1年生でインターハイの時点ではチームにアジャストしきれていなかったため、この部分も大きな上積み要素になります。

谷選手はウインターカップに向けて、「もちろん、自分たちの目標は全国制覇です」と意気込みを語ります。「(インターハイ準決勝の)福岡第一さんとの試合で、目標までの道はある程度見えたんですけど、福岡大学付属大濠さんや帝京長岡さんがインターハイに出ていないし、自分たちのブロックでは正智深谷さんの棄権があったりと、自分たちが勝ち上がったのには運もあったと思います。だからこそ実力をもっと伸ばさないといけないし、この東海ブロックリーグもこの後の大会でも、凌吾も自分もレベルアップして、チーム全体がしっかり準備してウインターカップまでに仕上げていきたいです」

野田選手も「自分も少しでもレベルアップして、試合に絡んでチームの勝ちに繋がるようなプレーができるように頑張りたいです」と続けます。これに対して谷選手は「まだまだ期待したい」と後輩に笑みを見せました。

野田選手によれば谷先輩は「1年生にも厳しい先輩ですけど、結構おちゃらけて面白いところもあって良い先輩です」とのこと。谷選手から見た野田選手は「1年生ながら責任感もあって、一番働いてると思うし、自分から率先して動く気持ちがすごく強い」と、頼もしい後輩のようです。

チームの司令塔であるポイントガードの先輩後輩は、冬に向けて藤枝明誠を力強く引っ張っていってくれそうです。

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